AIが専門的なタスクを処理する能力が洗練され続ける中で、異なる分野の点と点をつなぎ、関連性を見出す能力の価値はかつてないほど高まっています。
ジェネラリストの台頭を共有
ヒーローイラスト: Zoey Kim作
私はこの10年間、ライターでもデザイナーでもなく、ストラテジストでもない、専門職の狭間で働いてきました。これは、スタートアップの世界では、それほど珍しいことではありません。それぞれのチームでは、成長のための実験とUXコピーライティングの間でコンテキストを切り替えたり、新規ユーザーのオンボーディングからマーケティングキャンペーンのブレインストーミングまで飛躍できる人材を求めていました。デザインのバックグラウンドを持つライターとして、私は、慎重に作られたコピーやよく練られたインターフェースのディテールから、製品を際立たせる微妙な違いを見分けることができました。しかし、これを大企業で働く友人にこの違いを説明しようとすると、自分の仕事をうまく説明できず、彼らの目がうつろになることがよくあったのです。従来の企業環境では、「あらゆる業務を少しずつかじっています」と言っても、あまり信頼を得られません。
最近、それが変わりつつあります。アーリーステージの企業は、必要に応じて複数の役割をこなせるジェネラリストに常に依存してきましたが、この傾向はスタートアップの世界を超えて広がっていると感じています。同僚と話す中でも、「複雑な問題が一つの分野にすっきりと収まることなどめったにない」という認識が高まっているのを感じます。今や、最大手のテクノロジー企業でさえ、従来の役割の境界を超えて活躍できる人材を求めています。ブランドとパフォーマンスの両方を理解する「フルスタック」マーケター、デザインシステムに精通したプロダクトマネージャー、あらゆる規模の企業に対する販売に慣れた営業担当者など、ハイブリッドな役割はますます価値を増しています。
このトレンドは、期待と不安の両方を引き起こしています。多くの人にとって、その魅力は明白です。業務の幅が広ければ、数十年にわたるキャリアを通じて成長し、より多くのチャンスを得られます。また、異なる専門分野を超えて業務に従事することで、予期せぬインサイトやクリエイティブなひらめきが生まれることもあります。進化する業務内容や技術に適応するためのキャリア保険にもなるでしょう。しかし、特定の分野を何年もかけて習得してきた専門家にとって、ジェネラリストの推進は、専門性が軽視されているように感じることがあります。全員がジェネラリストである必要があるのだとしたら、1つの分野に集中することでしか得られない深い知識はどうなるのでしょうか。
深い専門知識は今後も常に求められるものであり、その専門知識を補完するスキルと組み合わせる必要も出てきます。専門性を完全に捨てるのではなく、どのスキルが最も価値のある組み合わせを生み出すかを見極めることが重要です。私はデザインエンジニアとして、デザインとエンジニアリングの両コミュニティで白熱した議論(およびツイートスレッド)を展開してきました。ジェネラリストが両分野を希薄化すると主張する批評家もいる中、AtlassianのDavid Hoang氏のような支持者は、より良い製品を作るために不可欠であると考えています。「デザインエンジニアは今後10年間で最も求められる職業になるだろう」とHoang氏は予測しています。
個人的な経験から言うと、その価値は多面的です。デザインエンジニアは、アイデアのほとんどを損なうことなく実用的なプロトタイプに変えることができるだけでなく、他の方法では見逃される可能性のある機会や制約を見つけることができます。「デザインエンジニア」のような職業の出現は、意図的な(または意図しない)スキルの構築が、まだ存在しない職業を記した珍しい履歴書を生み出すことができることを示しています。多くのデザインエンジニアが収益性の高いキャリアの機会を見据えてその道を歩んだわけではありません。彼らはむしろ、好奇心を追い求め、自分のアイデアを実現したいという願望から、スタックに欠けている分野で徐々にスキルを磨いていきました。その不足していた能力が、業界全体のニーズを反映していたのです。
製品開発でのコラボレーションが進んだこの10年間、デザインとエンジニアリングの境界は曖昧になり始めました。感覚の鋭いデザイナーとエンジニアの多くがこの変化を目の当たりにし、他の分野のスキルに精通することで、より効果的に働けることに気づきました。これは、チームにおいても同様です。エンジニアリングの制約を理解する製品デザイナーは、より実現可能なソリューションを提案でき、実装を理解しているライターは、より一貫性のあるドキュメントを作成できます。彼らは無差別に手を出しているわけではなく、補完的な分野で深い知識を身につけているマルチスペシャリストであり、その知識の多様さが、異なる分野をつなぐ架け橋として機能するのです。
Vercelのデザインエンジニアの求人情報がオンラインで話題になっていましたが、Linearの「オペレーションジェネラリスト」やDatadogの「ピープルジェネラリスト」、IBMの「ソフトウェアおよび3Dジェネラリスト」、Anthropicの「多面的なブランドストーリーテラー」といった募集もあります。Indeedでざっと検索しただけでも、ジェネラリスト向けの求人情報は2,000件以上見つかります。
ハイブリッドキャリアの先駆者であり、アーティストでマイクロソフトのVPでもあるJohn Maeda氏は、このことを的確に表現しています。「現代の世界では、異なる分野が交わるところでこそ、刺激的なことが起こります。創造性は、ある分野を別の分野の視点から見ることができる空間で育まれるのです。」AIが決められた分野の中で専門的なタスクを得意とするようになるにつれ、複数の専門分野を結びつけることができる人間の価値は、ますます上がります。
このジェネラリストを評価する流れは、ソフトウェアの構築方法におけるより幅広い変化を反映しています。リソースと注意力が重要な制約となる配分経済で差別化要因となるのは、AIが再現できる専門知識ではなく、異なる視点をつなぎ、新たな可能性を引き出す質問をできる能力なのです。ここで大切なのが、可能性を知るだけでなく、何をなぜ作る価値があるのかを見極めるセンスを磨くこと。スペシャリストは、何年にもわたり、集中して取り組んできたことで、何が重要で何がそうでないかを直感的に理解しており、各自の専門分野ですでに優れた成果を上げています。ジェネラリストの役割は、これらの深いインサイトをさまざまな分野に伝え、結びつけることです。
リソースと注意力が重要な制約となる配分経済で差別化要因となるのは、AIが再現できる専門知識ではありません。
完璧なプロンプトを作成することでAIの潜在能力を引き出せるのと同様、異なるドメインでどの質問をするべきかを知ることが、予期せぬソリューションを見つける鍵となります。Everyの共同創業者兼CEOのDan Shipper氏はこう述べています。「配分経済では、質問に対する正確な答えを知っている専門家が勝者とは限りません。そもそもどの質問をするべきかということを知っている人が勝者なのです。」
この種の慣習を構築するための私のアプローチは、試行錯誤を通じて進化し続けることです。隣接する分野の人とコーヒーを飲みながら話し、好奇心を育むことは、知識のギャップがどこにあるのかを特定するのに役立ちました。ギャップさえ特定できれば、同僚の仕事を観察したり、特定のコースに参加したり、自分の能力を伸ばすためのプロジェクトに取り組んだりして、深く掘り下げることができます。すべての分野の専門家になることが目標ではありません。より良い成果を得る上で十分な知識を身に付けるだけで構わないのです。この十分な知識は、技術的に優れているだけでなく、慎重にデザインされ、日々の生活に溶け込む製品を構築する上で不可欠なものとなるでしょう。複数の分野の間で迷っているのだとしたら、視野が広いことは弱点ではなく、強みであることを覚えておいてください。全体像を把握し、目に見えないところに潜む解決策を知る能力があるのです。

Figmaのオフィスで生まれた6つの大きなアイデアを、開発者、デザイナー、アナリスト、ライター、PM、そして多才なジェネラリストの視点からまとめ、記録に残しました。2025年に向けて私たちが考えていることをご紹介します。
さらに読む
- Vercel著「Design Engineering at Vercel: What we do and how we do it」(2024年)
- John Maeda著「Embracing the Hybrid Path: Reflections on Creativity, Career, and Resilience」(2024年)
- David Hoang著「Building your designs」(2024)
- Dan Shipper著「Why Generalists Own the Future」(2024年)






