優秀なデザイン人材を確保するためにすべきこととは? まずは、デザイン文化、満足度、採用のリンクを築くことです。
デザイン文化の確立が人材確保の決め手を共有
少し前までは、社内のデザインチームに所属することは少し特別なことでしたが、時代は変わりました。かつては周囲に理解されず、特異だと誤解されていた役割が、飛躍的に発展しているのです。企業は、より良い製品、より満足度の高い顧客、より強力な財務収益を追求するために、人材を集め、デザイン能力を拡大しようと必死になっています。不安定な経済情勢にもかかわらず、今日のデザイナーには多くの選択肢があり、苦労して勝ち取った地位を放棄しようとする人はほとんどいません。だからこそ、彼らが転職先を探す際には、最適な条件を選ぶことが最も重要であり、個人的な成長と専門的な成長の両方を実現できる役割を見つけることが、非常に大きな意味を持つのです。
Figmaでは、デザイン人材を惹きつけようと努力している企業がある一方で、うまくいかない企業がある理由を解明することにしました。そこで数百人に及ぶ採用担当マネージャーやリクルーターを対象として、調査とインタビューを行い、それぞれの経験を伺いました。企業がいかにして優秀な人材を獲得しているのか、また、企業文化のどのような側面がデザイナーの満足度にとって最も重要なのかを探りました。
優れたデザイン文化の道しるべを示す

デザイン人材を惹きつける魅力的なデザイン文化の構築は、すぐに実現できるものではありません。多くの場合、素晴らしいデザインプラクティスで知られる企業は、デザイナーが自らのスキルや意見が評価されていると感じられる環境を整えるために何年もの時間を費やしています。Microsoft社、Google社、Airbnb社のような組織は、広範囲にわたって尊重されているコアとなるデザイン原則、ツール、プロセスを確立し、強力で顕著なデザイン人材の採用に対して積極的に投資している企業と同様に、デザイン関連の求職者にとって特に魅力的です。
実際、Figmaの調査では強固なデザイン文化を持つことで知られる企業は、採用に成功していると回答する割合が4.3倍も高くなっています。「企業が発信するシグナルには、デザイナーが探し求めるものと避けたいものがあります。デザイナーが恐れているのは、わざわざデザインの価値を説明し、社内でのデザイナーの地位を確保しなければならないような職場です」と大手B2B企業のプロダクトデザインマネージャーは述べます。
そのシグナルとは具体的にどのようなものなのでしょうか? そのいくつかは、採用が成功した企業の83%が実践している包括的なデザインオペレーション(Design Ops)といった、現実的で運用的なものです。Design Opsは、デザインチームにとってコーチのような存在であり、チームが最善かつ満足できる仕事を遂行するために、促進し、能力を強化し、調整します。
また、基本的な(そして恒常的な)クオリティオブライフの向上もあります。このクオリティオブライフとは、ツールの評価、リソース調達プロセスの合理化、あるいはプロジェクトのタイムライン、成果物、マイルストーンのバランス調整など、すべてデザイナーが苦労して勝ち取ってきたものです。調査を行った企業のうち、このようなタイプの投資を行った企業では、採用に成功していると回答する割合が2倍も高くなっています。
そして、外向きのシグナルもあります。デザイナーは長年にわたって妥当性と影響力を求めて闘わなければなりませんでした。そのため、デザイン人材の地位を目に見える形で高めている企業は傑出しています。企業のデザインリーダーが業界のイベントで講演したり、見解を発表したり、メディアで紹介されたりしているのを見れば、その企業のデザインに対する価値観が分かり、デザイナーにも地位があるという強いシグナルを送ることができます。 リーダーだけでなく、チームが自らの経験やプロジェクトについて語ることで、さらに大きな影響力を持つことができます。
強固なデザイン文化を築くことは、一朝一夕にできることではありませんが、デザイナーの満足度を高めるという姿勢を示すことは、デザイン人材を惹きつける上で大きな役割を果たします。それをどこで見せるべきかを知ることも重要です。
企業自らデザイナーに会いに行く

キャリアサイトに求人広告を掲載し、最高の結果を期待するだけでは、もはや通用しません。特に、ビジネスクリティカルな役割を担う経験豊富なデザイナーや、駆け出しのデザイナーへのメンターとなる人材を求めている場合はなおさらです。それよりも、リクルーターや採用担当マネージャーは、デザイナーと真の関係を築き、デザインコミュニティ全体との関わりを重視すべきです。
デザインコミュニティは、当然のことながら、規模や重点を置く分野が異なるため、投稿すべきSlackグループや話題になっている求人サイトを常に把握することが重要です(Mia Blume氏のデザインリーダー向け求人サイト、Jared Spool氏のLeaders of Awesomeness、ADPlist、read.cvは、いずれも手始めに最適なサイトです)。しかし、デジタルの領域にこだわらないことも重要です。採用候補者とコーヒーを飲みながら近況を報告するような小さな行動が、採用候補者やそのネットワーク全体の関心を引くきっかけになるのです。「もし今、採用候補者が興味を示さないのであれば、次の四半期に再確認する予定を立てたり、紹介を受けたり、興味を持ちそうなチームの他の誰かに話してもらったりします」とAsana社のデザイン、プロダクト、UXR担当タレントアクイジションマネージャーKristi Vo氏は述べます。

こうした個々の状況に応じた取り組みは、多様なデザイン人材を惹きつけることにもつながっています。熟考された強固なパイプラインを築くことは、デザインプラクティスの視野を広げ、幅広い経験を語りかけるビジネスを創造する上で非常に重要です。Diversity in Design Collaborativeは、MillerKnoll社が2021年に立ち上げた組織で、デザイン業界の多様性をさらに促進することを重要なミッションとしています。この1年でメンバーは14社から50社以上に増え、Dropbox社、Gap社、Work&Co社、Pentagram社が創設メンバーとして名を連ねています。「若年層のより多様な人々に対して職業としてのデザインをより早く向上する、従来とは異なるアプローチが多くあることが分かってきました」と、Work&Co社のパートナーでありコラボレーションメンバーでもあるRupal Parekh氏は述べています。同氏が挙げたプログラムには、ブランドやプロダクトデザインのスキルを高めたい有色人種向けの、支払い可能な額を払う方式によるプログラムUseful Schoolや、デザインに重点を置くHBCUPensole Lewis Collegeなどがあります。
デザイナーに成長の機会を与える
デザイナーにとって最も重要なシグナルの1つは、組織的な重厚さよりももっと柔らかなものです。新たな機会を求めている経験豊富なデザイナーからは、「個人の成長」という言葉が繰り返し出てきます。これはあらゆるプロフェッショナルが求めていることのように聞こえるかもしれませんが、デザイナーは個人の成長に関してかなり特有の要望を持っています。
では、実際はどうなのでしょうか?デザイナーは、業界のベテランの視点を取り入れたり、健全で相互に学び合える関係を同僚と築いたりと、入社したその日から共に学び、成長できるチームの一員でいたいと望んでいます。「リモートで柔軟に働きたいデザイナーもいれば、暗号技術や電気自動車のような新しい領域あるいは特定の領域で働きたいデザイナー、キャリアを発展させたいデザイナー、多くの人材を管理したいデザイナーもいます」と、Airbnb社、Google社、IDEO社(そしてFigma)をクライアントに持つ人材紹介会社Wert&Co社のDaniel Wert氏は、語ります。「しかし、人材が最も望むのは、共に学び、共に成長できる同僚と働くことです。最も一般的な転職のきっかけは個人の成長なのです」
デザインとデザイナーの役割はこの10年で大きく変革し、多くの企業では社内チームへの投資と構築を初めて行いました。デザインはビジネスラグジュアリーからミッションクリティカルなものへと変化し、デザイナーはどこで、誰と働くか、何に取り組むかという選択肢があることを理解しています。優れたデザイン文化の育成は、こうした問いかけを理解することから始まるのです。
デザイン人材を採用する際、一部の企業ではどのように差別化を図っているか、調査結果の詳細をご覧ください。



