感情は新たな競争優位性


これまで以上に多くのアプリが存在する今、機能だけでは差別化しきれません。ロードマップに共感を組み込む時が来ました。
感情は新たな競争優位性を共有
ヒーローイラスト: Zoey Kim作
私はアナリストとして、キャリアの大半をテクノロジーのトレンドを調査し、それを理解することに費やしてきました。つまり、物事をマクロかつ客観的な視点で考えることです。4歳に満たない2人の子どもの父親になった今、テクノロジーが影響力を持つ分野に対する理解が刷新されました。キャリアにおいてはテクノロジーに全幅の信頼を寄せてきましたが、親になった今、子どもたちのスクリーンタイムをできるだけ制限したいと考えるようになりました。外で遊ぶことや、退屈という子どもらしい喜びにあふれた子供時代を夢見ていたのです。子どもたちのスクリーンタイムに関する注意を促すエビデンスは山ほどあり、自尊心のあるアナリストであれば、そのデータを無視することはないでしょう。
しかし、2人目が生まれる頃、この考えはニュアンスを伴う、より深いものへと変化しました。スクリーンタイムの有無ではなく、テクノロジーがどのようにして純粋な驚きとコネクションを生み出すことができるかということが大切なのです。子供たちが生まれ持つ創造性や世界への好奇心をテクノロジーが引き出す様子を見るにつれ、ソフトウェアの新たな競合性は、機能ではなく、共感にあると確信するようになりました。アプリの特徴を決定するのは、その機能ではなく、ユーザーにどのような感情を抱かせるかなのです。
スクリーンタイムの有無ではなく、テクノロジーがどのようにして純粋な驚きとコネクションを生み出すことができるかということが大切なのです。
3歳の娘がiPadを起動して、遊びと学びを兼ね備えた「デジタルおもちゃ」のコレクションであるPok Pokを開きます。すると、おもちゃが「ポッポッポッ」という音を立てて現れるのですが、とてもかわいくて、私も毎回笑顔になります。キャラクターが「あっ!」や「おう...」などの音を出すと、娘も小さく笑います。また、Pok Pokの使用をやめ、外に出た後も、アプリの「ドスンドスン」という音をまねて、恐竜の足踏みを練習したりします。小型のミュージックプレーヤー兼ストーリープレーヤーであるYotoにもアプリが付属しています。赤く丸みを帯びたプラスチックのボタンがあり、子どもが回したり押したりするのにちょうど良い抵抗力があり、楽しく操作できます。「こんなことを書くなんて...」と思われるかもしれませんが、こういったディテールのおかげで、どちらも使うのが楽しく、購入する価値があると感じさせてくれます。このような瞬間においてはスクリーンタイムに関する心配がほとんどなく、子どもが何かを発見して楽しんでいることに、ただワクワクしています。
最近、私は毎日使うアプリと似たような関係を築いています。仕事、保育園への送り迎え、なくしたぬいぐるみの捜索、2人の小さな子どもの食事の手伝いなどの間で、運動をする時間を見つけるのは困難ですが、アクティビティ目標を達成し、Apple Watchのリングが軽く振動して閉じると、どんな状況でも自分を大切にできたと実感します。このような状況において、テクノロジーは、自分で管理できるていることすべてが祝福に値することを思い出させてくれます。あなたの人生にも、似たような瞬間があるでしょう。それは、マッチングアプリでスワイプしながら自分に合う人を見つけた瞬間や、誰かがあなたのメッセージに笑顔やハートで反応した瞬間、エクササイズの目標を達成したときにバッジやアニメーションが表示された瞬間かもしれません。また、データの漏えい後にアカウントを安全に保つ方法を正確かつ率直に説明するメッセージテキストが表示された瞬間や、ToDoリストで何かを完了したときに、「タスク完了」のチェックマークを付ける瞬間にも似ています。このような場面において、アプリの機能が豊富であることは重要ではありません。ここで深い意味をもたらすのは、明確に説明する文言や喜びを覚える動き、心を落ち着かせる音、触感のフィードバックなど、デザイン上の決定なのです。
これについては、直感的に理解している人もいるでしょう。しかし、快適さや楽しさを提供するアプリがある一方で、イライラしか感じないアプリも多く存在します。日々の生活の中でアプリを体験する際の喜びや楽しさ、快適さと、職場での製品ロードマップにおける考え方との間には、しばしば隔たりがあります。それは、プロダクトビルダーとして、具体的なユーザーフィードバックや機能リクエストのリストに直面したときに、目には見えない体験を優先することが難しいからです。だからと言って、「共感が優先されるべき」という答えに変わりはありません。
今回は、この主張を後押しする新しいエビデンスを紹介します。IDCによると、2028年までにアプリケーションの数は2024年の2倍になると予測されています。(当然、アナリストとして、子どもたちの喜びとIDCの研究との相関性を見出しています。アナリストに父親の要素を加味することはできますが、父親からアナリストの要素を取り除くことはできません!)自分たちが作成する機能も、他者が自分たちのために作成してくれる機能も、爆発的に増加するのです。これは、機能を通じて競争優位を築こうとする試みがもはや通用しないことを意味します。チームが感情的な反応を正確に特定し、意図的に設計に組み込まない限り、競合他社がわずかなコストで貴社の機能をコピーしてしまいます。これは、ユーザーの深い恐れや希望、動機を理解することを意味しますが、これらは捉えにくく、多くの場合、画面の外でしか見えないものです。
新しいソフトウェアが数多く登場することで、あなたの同僚の中にも、競争が激化し、時代遅れになってしまう恐怖を抱く人がいるかもしれません。このデータを活用し、ロードマップに共感を組み込むことを主張するチャンスは今しかありません。

Figmaのオフィスで生まれた6つの大きなアイデアを、開発者、デザイナー、アナリスト、ライター、PM、そして多才なジェネラリストの視点からまとめ、記録に残しました。2025年に向けて私たちが考えていることをご紹介します。



