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クラフトと美: 形と機能の融合による投資対効果

クラフトや美がなぜ製品の改善やビジネスの成長のために重要かについて、Stripe、Linear、Figmaのリーダー陣が語ります。

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この投稿への参加者
Karri SaarinenCo-founder and CEO, Linear
Yuhki YamashitaChief Product Officer, Figma
Katie DillHead of Design, Stripe

ヒーローイラスト: Petra Péterffy作

Stripeのデザイン部門長のKatie Dill氏が語っているように、クラフトや美を単に見かけ上のものとして軽んじるのは簡単です。しかし今、市場の競争の中で変化が起きています。同氏によれば、「質の良さや細部が差別化になるのです。当社ではクラフトと美を大事にしていますが、それは単に美しいほど世の中が良くなるからということだけではなく、質の高さが成長のために重要だからです」。実際、Stripeの最適化された決済プロダクト(OCS)では質と細部にこだわったことで、使用する企業で平均11.9%の収入増につながっています。

今月の初旬、Stripeの年次カンファレンスで、Katie Dill氏はLinearの共同設立者CEOのKarri Saarinen氏およびFigmaの最高製品責任者の山下祐樹と登壇し、ユーザーエクスペリエンスや企業の成長、競争上の優位を得るためにクラフトと美がなぜ重要かを話し合いました。このパネルディスカッションの様子はこちらでご覧いただけます。また、この記事の中でもその議論のハイライトを紹介しています。

Stripeのセッション壇上のKatie Dill氏、山下祐樹、Karri Saarinen氏の写真。Stripeのセッション壇上のKatie Dill氏、山下祐樹、Karri Saarinen氏の写真。

議論の全体はこちらからご覧ください。

クラフトが製品のコンバージョンに及ぼす効果

Katie D.

美しさというのは一番前に見えているだけの表面上のものに過ぎないと考える人もいるでしょう。当社の経験ではそうではありません。スティーブ・ジョブスの「デザインは単なる見かけや手触りではなく、機能そのものです」という有名な言葉があります。審美性がユーザビリティや利用度に大きく影響することを見てきました。美しいものは機能性も良いと受け止められるという部分はあります。これは審美的利用性効果と呼ばれています。それ以上に、魅力的で惹きつけられるものであったり、操作が明快であると、それに引き寄せられ、理解が深まり、使用の効果も高まるものです。

魅力的で惹きつけられるものであったり、操作が明快であると、人はそれに引き寄せられる傾向があります。
Katie Dill氏、Stripe社デザイン部門長

このことはメールのデザイン改定で身をもって感じました。もともとのメールには階層がなく、次にどう操作すべきかユーザーが迷ってしまうことがありました。そのため、テキストやビジュアルを改善し、一連の作業の操作性を改善しました。

左右に並んだ2つのメールのスクリーンショットで、デザイン改定の前後を示す。左右に並んだ2つのメールのスクリーンショットで、デザイン改定の前後を示す。

そして驚いたことに、クラフトと美に着目したことでその一連のメールによるコンバージョンが20%も増加したのです。テキストと審美性の改善によってメールの利用価値が高まったということです。カスタマージャーニー全体の価値の増減につながるため、すべての顧客接点について同じようにクラフトと美へのコミットメントが必要です。

インプットとしての仕上げとアウトプットとしての美しさ

Karri S.

クラフトと美という2つの概念を分けて考えたいと思います。クラフトとというのはマインドセット寄りであり、美や質というのはアウトプット寄りであると思います。マインドセットというのは、取り組んでいることへのアプローチの方法です。アウトプットの品質を大事にしているかどうか、早い完成を求められているから手早く終えようとするのか、というようなことです。

美しさというのは体験するものですが、品質でもあります。たとえば住宅について、窓はちゃんと静かに開くかというようなことを気にするでしょう。美しさそのものだけでなく質について議論したいところです。

クラフトにより手持ちを増やす

Yuhki Y.

この「質」はニーズの階層と捉えています。Figmaの最初はウェブ上でネイティブアプリのようなエクスペリエンスを得られると人々を納得させるところから始まりました。性能やフレームレートを重要視しています。当社のCEOのDylanのように、やってきて「フレームレートが落ちたんじゃないか。毎秒60フレーム出てないぞ」というようなCEOはあまりいないでしょう。こうしたことが本当に大事で、素晴らしいものを構築してもその基盤がなければ味わえないのです。

それ以上に、クラフトは文化でもあります。気を配ると決めることです。ユーザーが詳しく見たときによく考えられたエクスペリエンスだと分かる場合もあるでしょうが、あまりにも直感的なために、なにもかもうまく機能していると単純に感じる場合もあります。こうしたことは、実際にクラフトを文化として考えていなければ得られないものです。そして、質を考慮するために何らかのOKRを適用しなければならないとすれば、チームに問題があると思われます。本能的に質を考える人を求めるべきです。

エンドツーエンドのコミットメントとしてのクラフト

Katie D.

クラフトと美を目指した開発には多面的な性質があるため、1つのチームだけではうまくいかず、全社的な取り組みが必要になります。文化的なものだからです。Stripeでこうした活動をどのようにして続けたかは、フリクションログの手法でお分かりいただけるでしょう。エンジニア、プロダクトマネージャー、デザイナーなどの多職能のチームが存在し、「ショップ体験」と呼んでいる活動をしてもらいます。製品を普通のユーザーのようにいろいろなサーフェスでエンドツーエンドで使って、直接その質を体験します。そうすることによって、質というものが単に表面上の見かけだけではなく、機能を発揮する上でいかに大事かが分かるのです。

Stripeのユーザーの操作を示すさまざまな場面の4枚のスクリーンショット。Stripeのユーザーの操作を示すさまざまな場面の4枚のスクリーンショット。

質の定量化における課題

Yuhki Y.

質を測定したいというのはなぜかを考えるとき、考慮すべき点がいくつかあります。まず、質を測定するにはどうすればよいかということ、次に、測定ができたとして、そのインパクトをどう示すかということがあります。この2つは分けて考えるべきです。

質やすばらしい体験を測定するためにどうするかは、それ自体が実際的な問題です。たとえば、私がUberで仕事をしていたとき、完璧な配車とはどういうものか、ずっと議論をしていました。いくつか違うアプローチについて考えましたが、1つは運転手と乗客の間で全く会話がないということ、もう1つは乗客が待たなくてもよいということでした。議論を進める中で、配車エクスペリエンスを測定するためにはまた別のロードマップが必要だと認識しました。「魔法のような」エクスペリエンスなら乗客が運転手と全くやりとりをせずにすむというのは良いことではありますが、電話やテキストによって配車エクスペリエンスが改善することが分かりました。このようなことで「良い」エクスペリエンスがどういうものかという視点は変わるものなので、継続的に計測の試みを続ける必要があります。

もう1つの側面は、計測ができたとして、そのインパクトをどう見せるかという課題です。収益や顧客獲得へのインパクトを測定することも可能ですが、利用者に好まれるかどうかだけの問題の場合もあります。これはあいまいさを含む問題です。あいまいであったとしても、目標にしなくてよいというわけではありません。こうした計測は概略のものだということを受け入れるべきです。

良い顧客評価を得ることの重要性

Karri S.

質の評価は1つの指標だけではなくさまざまな尺度があって、製品や企業によっても変化すると考えています。まずは、質が実際に大事なものであり、企業や事業に対して有益だと信じることが必要です。次に、質を優先事項にするようチームを動機づける必要があります。期限やいろいろなインセンティブについてうるさくいう会社は多いですが、「そのエクスペリエンスは良質か」や「質の基準を満たしているか」と問うことはなかなかありません。

これを起点に、質の基準を満たしているかを検証しようと試みます。利用者は本当に製品を気に入っているのか。当社にとってそれは常に逸話的なものです。Linearは利用者が毎日使うような製品であり、たくさんのフィードバックをいただきます。サポートへのメールで「この製品というか新しい機能はいいですね」と書かれていたり、SNSへの書き込みがあったりします。CEOや創業者は、製品エクスペリエンスが素晴らしいからユーザーが買うのだと言っています。シグナルに耳を傾け、話を聞いて、本当に質が備わっているかを確かめる必要があります。製品について良い評判が上がっていなければ、製品が良くないということなのでしょう。素晴らしい製品にはファンや応援してくれる人がついて、そうした人たちが広めてくれます。製品の質は企業にとっての究極の防御になるのです。

セッション全体はこちらでご覧ください。

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